インターネット、ケータイ利用の事件がめだち、喜んでばかりいられません。

 年末には、福岡県で20歳の男が小学3年生の女の子2人のワイセツ写真をカメラ付きケータイでとって逮捕されましたし、驚いたことに19歳の大学生が携帯電話料金のことで小言を言われたからと、母親を殺してしまう事件も起きました。また殺害した少女の写真を遺族に送りつける、という残忍でむごい事件も奈良県で起きました。ケータイを子どもに持たせた親御さんも、まさかこんな使われ方をするとは思っていなかったでしょう。携帯のストラップで少女が首を絞められて殺されるなど、もうなんでもありの携帯インターネット事件が相次いだ年でした。

 奈良県の小学1年少女殺害事件は、年末に犯人逮捕ができてホッとしましたが、携帯電話を持たせることが安全安心につながるかどうかは事件の全容解明の過程で明らかになるでしょう。ところで奈良県の事件では、子どもに対する性犯罪とメディアの関係もクローズアップされています。欧米ではすでに90年代から、子どもを性犯罪から守る法作りが行われていますが、児童ポルノ大国日本は小手先で済ませています。子どもの性を狙ったレイプ・アニメからインターネットでの児童ポルノまで隆盛を極めているわけです。

 とりわけインターネットではパソコンからもケータイからも子ども達のためにならない情報をノーガードでダイレクトに発信しています。これも日本の特徴でしょう。インターネットのポルノ情報問題では、さる10月の米国上院委員会でインターネットによる若者のポルノ依存症に関する証言が行われました。しかし児童ポルノ大国日本で、政治家がそんな心配をしている話は聞きません。

 私共の「ねちずん新聞」の記事データベースを見れば分かりますが、このところ小中学生を対象とした性犯罪と被害者の低年齢化がめだちます。

 日本では児童のセックス情報を流すマスメディアと、そのワイセツ情報に影響を受け行動を促す携帯電話などパーソナル・メディアの連動的現実にもっと注意を払うべきではないでしょうか。

 とりわけ子ども達は、マスメディアとパーソナル・メディアを一体的メディア環境と見て動いており、性犯罪者もそこに目をつけていると見るべきでしょう。

 ところで子ども達のメディア行動の実態ということでは、2004年の事件の中でも最もショッキングな事件が6月に長崎県佐世保で起きた小学6N生少女による殺人事件でした。このときつくづく思ったのは、日本の子どもの社会に急速に普及しているインターネット利用の実態が、我々大人に見えなくなっていることでした。

 わたしの見るところ、特に携帯インターネット利用の広がりにともなう低年齢化のなかで「アフタースクール・インターネット」の実情が大変化しています。そこで今年は、これまでのアミューズメント系サイトに加えブログや2ちゃんねるでの子どもの動き、ふるまいをもっと深く調べたいと思います。特に出会い系サイト実態が急速に変化しています。

 インターネット世界に入っていく子ども達が、どこでどんな遊びをしているのか?そこに危険は無いのかを知り問題が起きる前に手を打たねばならないのですが、実態が分からねば何もできません。

 パソコン、携帯電話からのインターネット利用はまだまだ進みます。大人として、このパワフルなメディアを子ども達にどう与え、使わせるか、今年は正念場のような気がします。いままで積極的に動かなかった携帯電話会社も何らかの手を打たなければならなくなるでしょう。今年は意識の変化が起きると信じたい気持ちです。

 思えば昨年は息切れしながら走り回るというかたちで疲労感も強かった年ですが、終わってみると、全国に「IT時代の子ども達のために大人として力を出し合う」という友人のネットワークが広がりました。この友人のつながりの力が2005年の私達ねちずん村のパワーです。今年もやれるだけのことはやるゾ、と気を奮いたたせている元旦です。