子どもの世界に広がるケータイ消費者問題

―信濃毎日新聞の長期連載第2弾で解説スタートします-
 
 人生相談欄にまで携帯電話が登場するとは、7月31日の読売新聞「人生案内」には「18歳長男、携帯に20万円」の見出しがあった。
  このところ小生の講演の際に、有害情報の受発信問題の他にも子どもの携帯電話料金に関する悩み相談を受けることが多くなっている。「子どものケータイ代がかさんで困る」とか「家計を圧迫している」あるいは「高額請求に悩んでいる」などといった話である。高額利用、請求の金額としては、以前は5万円とか10万円といった数字が多かったが、このところ20万円、40万円などという数字が出ている。話しの出る場所は、岩手、群馬、長野、鳥取、佐賀など地方に多い。相談者は保護者が中心だが、私のところには中学、高校の教師の方々からの相談。例えば受け持ちの女子高生で1ヶ月のケータイ代が7万円になり手っ取り早く稼ぐために歓楽街の飲み屋さんで働いているうちに修学意欲も無くなり中退というケースもある。

  ところでくだんの読売人生案内の記事について言えば、相談者は50代の母親で、息子の18才専門学校生のケータイ代が増え、ついには1ヶ月20万円という請求が来てしまって驚き悲しんでいるということだ。投稿者の住んでいる場所は茨城県となっている。このケースでは、子どもは「親友と話していただけでこれだけかかった」と言っているそうだが、利用内容をもっと調べるべきではないか。

  それはともかくこのお母さんは料金を払った後で息子のケータイを取り上げたものの、ケータイの無い息子は寂しがっているのではないか悩んでいるという相談だった。
  なんとなく「これってニッポンの母だな」と思ってしまう。なんと優しくも甘いお母さんか、とは思うけど、これからさらに進み行く情報時代にこれでいいのか、と思ったり、携帯電話会社の社員などは、どんな気持ちでこういう記魔ヌむのかと思ったりもする。ちなみに同じ日の読売新聞では「ケータイ文化」を持ち上げる連載記事が載っていて、こちらを読む社員はむしろ誇らしい気分で読むかもしれないが・・・

閑活休題-

 で、相談にのっている作家の出久根さんのお答えはいかに、と思ったら「この機会に使用料金にルールを決めるべきです」とある。それはそうだが、どのようなルールにするか、このようなお母さんにはもう少し具体的なアドバイスが必要だろう。なにしろ私どもの調べでは、子どもに甘い保護者の場合にかぎつて、月のおこずかいをはるかに凌ぐこのメディアの玩具の料金体系も情報問題も知識が無いのだ。

 子どもの携帯利用料金制限や定額制のサービスさらには「お得な定額料金」にしても、これで有害情報の受発信に歯止めがかからなくなる危険なども知る必要がある。ブラックな情報ばかりか無難に見えるネット遊びサービスの利用には課金の罠も多い。こうした知識がインターネット時代の子育てに必要で、そのような意味からするとネット時代の保護者への消費者教育はもっと充実されるべきだろう。

 とはいえ現場の専門家、例えば消費者センターのアドバイザーの皆さんも問題の広がり多様化におおわらわのようで、その人たちの勉強会に私が出かけたりしなければならないから、上記のような主張が自分の首を自分で締める構図を作ってしまうのかもしれない。
 実のところ、本音を言えば、子供の世界に広がる有害情報問題までは予想できたが、消費者問題の広がりまでは予測していなかった。そこで改めて各地の消費者センターの皆さんと連絡をとりつつ、今月の7月17日より信濃毎日新聞の長期連載第2弾(先回の2003年度長期連載では消費者問題をほとんど扱っていなかった)で子どもの世界に広がるケータイ消費者問題を重要テーマのひとつとしてとりあげ、報告やら解説をはじめます。記事の感想などお寄せいただければ幸いです。