おかしな警察庁の発表と大新聞の報道

 ケータイなどネット利用による児童性被害が止まらない状況を重くみた警察庁は28日、フィルタリング利用と児童被害の関係を分析し、報道関係者に結果を発表した。

 10月28日の各紙が一斉にこれを報じたため、国民の注目も高まったことだろうが、問題のある発表と報道になってしまったのは残念だ。朝日、読売など大手(全国紙)新聞各社は、一斉に「親が子どものネット端末(ケータイ)にフィルタリングを掛けていないのが問題」と書きたてた。

 フィルタリングをかけないあるいは、無関心な親が悪いから児童被害は止まらない。という見解である。たしかにそれは否定できないが、これでは全て「親が悪いから子どもの被害が発生する」という責任転化にならないか。

 警察庁の長官は分かっているようだが、問題はフィルタリング(現行の)をかけても使えてしまう、いわゆる非出会い系と呼ばれるサイトでも被害が発生していることだ。さらに言えば、フィルタリングのかからない健全サイトで出会い系サイト同様の児童性被害が急増している事実である。いわゆる「非出会い系サイト」で児童被害が多発、急増していることだ。大手新聞はそのことを指摘していない。フィルタリングから外されたグリーやモバゲーなど、大手健全サイトで被害、事件が起きているから、フィルタリングの性能が信頼できないのだ。

 そうした中で地方紙の高知新聞がフィルタリングの対象外となっている健全サイトの存在を問題にした。「健全サイトでも被害」「第三者機関基準に疑問も」という見出しで、現行のフィルタリングサービスの抜け穴を読者に訴えた。「フィルタリングをかければ万全で、解決になるということではない。実際にいい加減なフィルタリングをかけても児童被害は減らない」と、業者の責任をこそ問わなければいけない。
「親を悪者にしてすませよう」という警察庁の発表の仕方も問題だが、「発表報道」で片づけ、報道者の視点を持っていない大手各紙も情けない。ちなみに高知新聞の記事は、高知の市民インストラクターが私のところに送ってきたものだ。