ケータイより難しいスマートフォンのフィルタリング問題

 子ども達がケータイからスマートフォンに移ろうとしている。スマートフォンの主力ユーザーが思春期の子どもらに移った場合、最大の問題はフィルタリング対策であろう。
 日本の場合、ケータイのフィルタリングが抜け穴だらけで、おまけにその不良フィルタリングでさえ普及していない。もともとケータイはフィルタリング無しで急速普及させた商品だし、にわかにフィルタリングと言いだしたことで携帯販売の現場での店員の説明能力も追いついていない。

 スマートフォンの売り込みでも、ケータイのように未成年者への説明義務がないこともあり、保護者への説明責任は不十分なスタートになっているとみてよい。つまりスマートフォンを売る販売店は「これはケータイ以上にフィルタリングしなければいけないメディアですが、保護者が自分でフィルタリング設定なさるのも大変ですから、私どもで責任を持って行いますのでお申込みだけでもして下さい」と胸を張っては言えないところがある。それというのも、スマートフォンのインターネット利用は携帯電話会社のサービス網を経由する以外にWi-Fi接続に切り替えできてしまうので、携帯電話会社の一元管理は難しい。また子どもがスマートフォンを初期化してフィルタリングを無効にすることも容易にできる。そんな事を子どもにさせないようにするペアレンタル・コントロール能力を持った保護者などそうそういるとは思えない。

 というわけでスマートフォンのフィルタリング対策は難しい。基本的に携帯電話会社は親に代わってWi-Fi接続したり、フィルタリングを無効化する個々の子どもの監督指導など出来るわけがない。
  携帯電話会社がだめなら、各家庭でフィルタリング機能付きルーターを買い求めて設置し、これでペアレンタル・コントロールするという手もある。これならば、インターネット端末機がパソコンであれスマートフォン、ゲーム機等なんでも家庭で一元管理することができるはず。

 しかしそんな製品があることを一般の親は知らないと思うし、知っていても利用は難しい。仮にその高性能ルーターを使える親や教師が家庭用でルーターを使っても、スマートフォンはモバイル・インターネット機だから子どもが家の中だけで使うというのは期待し難い。

 このように考えていくと、スマートフォンのフィルタリング対策は、ケータイ以上に困難といわざるを得ない。「スマートフォンはケータイ以上にお子様のインターネット利用の安全を保証します」という携帯電話会社があればぜひその安全対策の中身を聴きたい。

 スマートフォンの問題点
  1. これまでのケータイと同様に、いつでもどこでも使えるモバイル端末なので、親や教師の目が届きにくい
  2. 携帯電話のようにフィルタリングの利用が義務付けられてはいない
  3. 保護者にとってフィルタリングしづらいWi-Fi接続ができ、携帯電話会社のサーバーによる一元管理ができなくなる。さらにWi-Fi接続に関してはフィルタリングの設定をしても初期設定に戻すなど無効化することが可能
  4. ケータイ以上に遊べる機能が付いているので、子どもの依存傾向を加速する
  5. ネット依存が強まることから、出会いのリスクも高まる