盛り上がった高知の合宿研修会。次回はどうする

 超大型台風が去った後の11月3日。抜けるような青空が黒潮の海に溶け込んだ高知県室戸市の青少年センターに、高知の市民インストラクターである山中千枝子さんの呼びかけで、地元高知市の人たちはもとより、遠く群馬県や三重県、愛知県、東京都から子どものケータイ・インターネット利用問題に関心を持つ人々が集まり、現状に関する情報や意見交換をするための「子ども達のネット問題に関する市民合宿研修会」が行われた。

 私たち(下田博次と真理子)は11月2日に現地に到着、5日に皆さんとお別れし、帰宅した。研修は実質2日間という短時間だった。しかし、その短い時間の間に、iモードがこども達の手に渡り、今日までどのような出来事が起きたのかを振り返ったり、子ども達が夢中になり、事件も多発するコミュニティサイトをめぐって「子どものコミュニティサイト利用に賛成か反対かのディベート」をしたり、群馬県や愛知県のインストラクターが啓発の仕方を発表するなど多彩で新しいプログラムの試みがなされた。啓発の発表では県警の課長さんの発表が説得力もありすばらしかった。さらに子どものネット利用の問題(トラブル・事件)をなくすために各地で活動している者同士が、つながりをつけ、強めるための親睦会やアトラクション(ヨサコイ踊りや阿波踊りを皆で踊る)も行われたりと盛り上がった。

 私自身は、前橋にいた時の仲間達と久しぶりに会えたことが嬉しかった。旧知の人々との再会ばかりではない。東京から、この問題に関心を寄せてきた人との出会いも刺激になった。この種の集会にありがちな動員型の参加が皆無で、インターネット時代の子育て教育をよくしたいという思いを同じくする人々の集まりになったことが何より嬉しかった。とはいえ今回のような純粋な市民の研修会としてはもう少し集まりやすい場所や開催日を含め時間的課題など、再検討が必要であろう。

 最終日に、私は山中さんに感謝申し上げたが、課題は主催者の彼女の方より私自身にあると思った。

 市民集会の「子どものネット問題。どうなる、どうする」という大テーマについて、私自身が現時点での率直な思い、考えを皆さんに伝え切れなかった。そこで反省を込めて、改めてシモダヒロツグという個人の考え、思いを以下に発信する。

 まず、「日本の子どもたちのネット利用がこれからどうなる」については、はっきり言って「さらに悪くなる」と考えている。残念ながら私の判断では、フィルタリング無しの携帯電話からウェブサイトに入って行った中高生らは、インターネット本来の「知性のウェブ利用」ではなく「快楽のウェブ」利用になじんでしまった。この快楽のウェブ利用、デマ発信、誹謗中傷、ワイセツ情報発信、不正アクセス、ウィルスばら撒きなどをペアレンタルコントロール文化の無い状態で学び、理性より先にネットの快楽を味わった子ども達は、携帯電話よりもメディア・マジックの強いスマートフォンやタブレットで快楽のウェブを活発化させる使い方、すなわちネット依存の恐れが強まっているのだ。「これから、親や教師など大人はどうする」という研修会のテーマに沿って結論を言えば、ケータイ時代に生まれた(業者が作り出した)快楽のウェブの大波から子ども達を守り、次の社会(インターネット社会)を作るべき子ども達を知性・理性のウェブ文化に導かなくてはならない。これは学校や警察だけではできない導きで、インターネット時代の家庭、親の役割は益々大きくなるはずである。私としてはこれから「快楽のウェブの大波から子ども達を守り理性、知性のウェブ文化に子ども達を導こう!」と叫んでいくつもりだ。

 ありがたいことに今回の市民合宿研修会では参加者の中から2つの提案が出た。ひとつは「インターネット時代に親・家庭の役割を果たそう」という声であり、もうひとつは、そのためにも「インターネット時代の子育て教育能力をつけられるような社会教育プログラムを作ろう」という提案である。私はほんとうに室戸に行ってよかったと思っているし、インターネット時代に研究者としての自分の役割を、山中さんとの次回の呼びかけに応えられるように、明確化、具体化したいと思っている。

 というわけで山中さん。合宿研修会参加の皆さんに、次回の研修会をどうすると呼びかけたい。ご意見、提案(テーマ、場所、日時など)山中さんまでお寄せください。私も山中さんにメールにします。皆さん!また高知でお会いしましょう。

 ★室戸での研修会報告書は主催者より参加者に郵送される予定です