スマホ利用問題解決は、子ども任せでよい?子どもを持ち上げる前に大人・業者のすべきことがある。NHKの放送に異議あり

 ケータイの普及期もそうでしたが、スマートフォンでも親や教師の流行や技術コンプレックスを突くようなマスコミの発信が気になります。新型のインターネット端末木を売り込みたい企業は『まず子ども中高生を攻めよ。大人(親や教師は)後からついて来る』というのが販売戦略の鉄則とされます。親、大人より先に、先端技術商品に先に飛びついた子ども達を持ち上げ『親も新商品を使わなければ子育て教育もできない。だから買い求めよ』というメッセージをテレビや雑誌などで発信します。業者は、子供たちを販売の尖兵にしたことで学校や家庭に問題(シワ寄せ)が出てくれば、後追いで対策をすればよいという考えのようです。携帯電話の有害情報対策(フィルタリング・サービス)などが、その典型例でした。

 今回のスマホでも、フィルタリング(サイト、アプリ)の整備やネット中毒につながるようなネット・サービスの改善、規制は後回しで、販売競争が先行しました。スマホに大人より先に飛びついた子どもらにネットいじめの発信を含む有害情報受発信の解決策を考えさせれば、子どもたちのスマホ利用問題の解決になるという風潮もケータイ時代同様に広がっています。先般のNHKの「週間ニュース深読み」などという番組も、そのような風潮を広げるのに役立ったと思います。ちなみにあの放送の数日前に、NHKのディレクターと称する人物から「子供たちのスマホ利用の問題について番組を作りたいのでアドバイスしてください」と頼まれ、私はネット依存からネットいじめにつながるラインの『タイトコミュニケーション・サービス(ライン利用者同士が互いに縛りあうネット利用サービス)』などの問題について、旅行中でしたが、一生懸命説明しました。しかし、完全に無視されました。一時は憤りましたが、放送後は無視されたことを感謝しております。危うくラインを含むスマホ業者の手先にされるところでした。
 ちなみに高校生達が、スマホの安全な使い方を考えるのは、悪いことではありませんが、その前に大人とネット業者のするべきことがある。ラインの互いに縛りあうタイトコミュニケーション・サービスを改善したり、出会いにつながるIDサービスの停止。有害アプリの開発規制などネット業者の商法などの改善や、ネット依存中毒防止を含む根本問題解決を全て高校生ができると考えるのは大人の無責任になるのではないかと思います。特にこれからさらに広がるネット依存中毒の防止で最も大きな役割を果たすべき親達をバカにしたような放送ではNHKの良識が疑われるのではないでしょうか。

 子どものスマホ利用問題では、今年1月に日本テレビがインターネット利用の深い知識を持った米国のホフマンさんという母親の保護者主導のルール作りを紹介しましたが、ホフマンさんと同様、インターネット(スマホだけでなく)の本質の理解をし、愛情を持ってわが子を導いている保護者も、日本にはたくさんいることをNHKは調べてもいないのではないか。真面目に取り組んでいる賢い親達をバカにしてはいけない。