ジャンクフードと人気サイト(ジャンク・コンテンツ)商売は似ている

 子どものネット(サイト)利用の安全は、食の安全とよく似ている。子どもは色どり鮮やかな甘い、辛いも両極端で味も見かけも含め刺激の強いジャンクフードが好きだ。ようするに刺激の強い食べ物に、面白半分で飛びついたりする。

 まともな親なら子どもに刺激の強い怪しげな食べ物を与えない。特にそんなものを主食には与えない。(とりわけ幼児期のこどもには)面白半分に過剰刺激な食べ物を与えはしない。主食には、ごはん(それも無農薬の、最近では放射能に汚染されない米、パン、ミルク)を与えるよう気を配る。

 幼児期にジャンクフードを与えると、味覚がおかしくなり、まともな主食も嫌がるようになる。しかもジャンクフードを食べさせていると体に変調(生活習慣病、成人病)をきたし、時には小児科のお医者さんから親が注意されるようにもなる。

 また怪しげな食べ物が命取りになることもある。そうしたワーストケースの多くでは、親のほうがジャンキーな食品を常食にしているため、子どもに「まともな食べ物」を与える必要も理解せず、小さな子に刺激の強い有害な食べ物を平然と与え続け、あげくは親子とも、体がおかしくなる。(子どもが成人病になったりもする)

 情報メディア論でも「子どもに刺激の強い情報を与えてはいけない」というのが正論である。かつてTVのポケモン事件があった。子どもの大好きなアニメ放送の画面の過剰刺激的な展開がなされ、観ていた子どもたちが発作を起こし社会問題となった。TV放送ばかりでなくゲーム機でも、ケータイさらには今後のスマートフォンでも画面刺激ばかりでなく情報の過剰刺激化競争は進むだろう。「もっともっと刺激的に」という競争である。ゲーム・コンテンツだけではない。動画投稿サイトでも、その傾向は進む。

 業者は子ども達の身心の健康のことなど考えてはいない。ただ面白ければよい。そういう商法だ。刺激的なら儲かる。すでに刺激的な素人の「投稿という名のネット放送」が現れ、サイト業者の管理責任が問われ始めているが、投稿サイト業者は「安全管理」などする気もなさそうだし、やろうとしても文字の投稿より動画の投稿の安全管理は格段に難しい。

 かくて子どもの心の健康に良くないジャンキーな食品ならぬジャンキーなサイト商売(そのビジネスモデルは学校裏サイトで試され、モバゲーで確立された)は掲示板からコミュニティサイト、投稿サイトで発展していくとみてよい。

 子供向けジャンクフード商売への規制をしている国もあるが、世界で最もジャンク・サイト商売が盛んな日本の役所が、子どもの情報消費の安全に動く気配はない。健康に良い食べ物に気をつけているという親たちが、ジャンキーなサイトにも興味を持ってもらいたい。
  現実問題は「こんなジャンキーなサイト商売をしないでくれ」と叫ぶ保護者が少ないことだ。とはいえ「我が家ではこどもに性・暴力・薬物・誹謗中傷・デマなど刺激的で有害な情報や過剰刺激なサイトをブロックしているが、我が子の友達の家庭ではそうしたジャンキーなサイト・情報利用が当たり前で困っている。そう愚痴る親は結構多い。「まともな食品ならぬ、まっとうなサイト(情報)で子どもを育てようとしています。仲間を増やしたいので集まりませんか」とネットで呼び掛ける親や教員がもっと増えないと、ジャンク・サイトの流行は止まらないと思うのだが…。

 幸い、私どもはこの10年、ネット時代の賢い保護者を増やす仕掛けとしての市民インストラクター養成講座を開いてきた。それらの人々が全国から参集(今年は東京で)インターネット時代の新しい子育ての動きを作りだそうとしている。

 私も病身ながら若々しい保護者(ネットマム、ネットパパ)や志のある教員の皆さんとともに新たな歩みをなんとしても広げたいと意気込んでいる。