6月27日、東京の月島区民会館での
 全国インストラクター代表者会議で考えたこと
 ―期待されるインストラクター像―

 子どものケータイ利用問題を考える全国市民会議が開かれ、各地の市民インストラクターの代表者が集まった。今回の代表者会議は群馬県の市民インストラクター達が裏方の中心となり実現したようで、群馬県や愛知県、鳥取県、長野県(東御市)など地方自治体関係者の参加もあった。文部科学省の官僚もスピーチをしたようだが私が会場に着く前に終わっていた。

 私は「子どもの食の安全とネットの情報の安全問題はよく似ている」というショートスピーチをし、あわせて「市民インストラクターへの期待」を語った。
  市民インストラクターへの期待というより注文と言ったほうがよいかもしれない。今回は、はっきり「こういうインストラクターはドン引きされる」と言い切ってしまった。私が知る限り「俺はこんな技術的な事を知っているんだぞ」と自慢したいために人前に出るタイプは嫌われる。妙にマニアックな話をして自己満足する。聞かされた人の感想を参考までに紹介すると「人を小バカにしている」「忙しいのに出かけたけど嫌な時間だった」ということだった。

 これは米国の啓発ボランティア(ネットマム)から聞いた話(2004年)だが「私は、これで失敗した。参考にして」というのはよく聞いてくれる。体験談(子どもにオンラインゲームさせて失敗した等)はウケがよいという。次は「親として心配になったから調べてみた。結果は…」という話がウケるという。日本のケースで言えば、群馬県のインストラクター達が「ケータイ販売者の店員の説明能力の実態調査」が社会的にも評判になった。警察庁がこの市民の販売店調査を真似て全国調査をしたが、結果は皆さまご存知の通りです。

 今回の全国市民会議では市民ボランティアのお手本のような人がいて、個人的にも参考になった。その人は地域のPTA会長という立場でケータイ問題の啓発を行っている。話を聞いた地域の親は「フィルタリングの重要性はわかった。しかし今更子どもにフィルタリングを入れろと言えない。会長から高校生の息子を説得してくれませんか」と頼まれると、「よっしゃ」と引き受けたりする。高知には、元校長というインストラクターがいて、この人もトラブル処理をよく引き受けている。こういう人たちがいると地元の人は安心する。感謝もする。

 「忙しいのに、私のケータイ不安点を代わりに調べて話してくれてありがとう」とか「ケータイはただの電話だと思っていたが、危険性のある道具とわかった。親として知らなくてはいけないことを教えてくれてありがとう」さらには「いろいろなトラブルを代わって処理してくれて感謝します」そういう声を地元の人たちから受け、それをエネルギーに動ける市民インストラクターこそ本物であろう。

 ちなみに国や業界が行っているEキャラバンなるインストラクターが嫌われるのは「なぜフィルタリングを使わないのか」とか「フィルタリングを使わないからこうなる」など、お説教調だし、企業講師の場合は「ケータイやスマートフォンを子どもに買い与えない」という話はしないから結局は販売促進啓発になることが見抜かれていたりする。基本的に国、企業の啓発は「親目線に立てない」ことが弱点だ。逆に市民インストラクターは「同じ保護者なのにこんなに頑張っている」という共感を与えることができる。そこを強みにしてもらいたい。