学校裏サイトに振り回され続けている教育関係者

 最近の報道によれば、文部科学省は、学校裏サイトでネットいじめや子どもの犯罪被害・加害が相次いでいるので、ネット監視を強化したり、ネット監視の指針資料集の策定に乗り出すという。
 この文科省の動きに、私としては小中高の学校現場の教員ならびに学校長への同情を禁じえない。現在の学校裏サイトは、以前より見守り、指導が難しいから大変だ。

 子どものインターネット利用、とりわけ携帯電話やゲーム機などモバイル・インターネット機からのインターネット利用の責任は学校ではなく、家庭・保護者である。パソコンからのインターネット利用なら話は別だが、トイレやお風呂でもできるケータイなどモバイル・インターネット利用では、教員は見守りや生徒指導など不可能だ。

 文科省の方針が現場の教師への、ネット監視や生徒指導面での負担増となりそうで私は現場の先生方に同情するしかない。ネットいじめや子どもを犯罪に巻き込むような機器と情報商品の販売や買い与えをしている保護者や業者への働きかけを文科省は、もっと真剣に行うべきで、現場の教員に圧力をかけるだけでは根本解決にはならないだろう。

 本来業界の指導に当たるべき総務省は、妙な内部委員会を作って、青少年へのスマートフォンの普及はさほど進まないだろうとかスマートフォンを利用する青少年がWi-Fi接続などしないだろうなどと甘いことを言っているが、お笑い種だ。「5メートル以上の津波は来ないだろう」といっていたどちらかさんと同じにならないように願いたいものだ。

 ところで子どもに限らず大人の世界でも有害情報への人気はしばしば機器の普及、販売を加速させる。例えば、出会い系サイトや学校裏サイト人気は、ケータイの青少年への普及に役立った。装いを新たにして再び勢いをつけ始めた学校裏サイトは、コミュニティ・サイトという新たな衣をまとい文字に代わる動画投稿というネットパトロールしづらい形でスマートフォンに乗って広がる可能性が高い。そんなリスクに、教育現場を支える教員だけが立ち向かうのはかなり無理があろう。

 ケータイ時代に、日本の子どもネット社会に根を張った「いじめ、ワイセツなど有害情報発信」遊びはこの十年地下でかたちを変え成長している。ネットパトロール業者も「看視がしづらくなった」「かつての学校裏サイトは、わかりやすかった」とグチっているのだ。看視できなくなった学校裏サイトはなくなった、消えたと報告し、その報告書を受けて、子どものネット遊び問題は解決に向かっていると安心宣言をした県教委もある。現状を甘く考えている教育関係者は問題だ。