ペアレンタル・コントロールとは

青少年メディア研究協会では、次のようにペアレンタル・コントロールの概念を主張してきた。

 ペアレンタル・コントロールとは親(保護者)による子どものメディア利用の管理・監督の営みである。テレビやゲーム機などの利用時間制限や内容選択からはじまり、今日では子どもによるインターネット利用の内容管理等が大きなテーマになってきた。とりわけ日本では携帯電話やゲーム機からのインターネット利用の管理指導が中心テーマとなってきた。

 群馬大学下田研究室では携帯電話からのネット利用が本格化した2004年に、群馬大学に米国、英国からペアレンタル・コントロールの普及活動をしていた米国、英国の保護者、市民、研究者らを招き、日米英市民交流を行った。その時のディスカッションをもとに、私どもは以下のようなペアレンタル・コントロールの定義を使っている。

 「ペアレンタル・コントロールとは、一般に言われているようなインターネット端末としてのパソコン(デスクトップPC)にフィルタリングを設定するだけの営みを意味するものではない。パソコンのみならず、携帯電話やゲーム機などモバイル・インターネット・ターミナルからの子どものインターネット利用についてもペアレンタル・コントロールの対象とすべきである。そのうえで、モバイル・インターネット機へのフィルタリング設定を、日本ではペアレンタル・コントロールの主なテーマとすべきである。具体的にはインターネットができる携帯電話やゲーム機を子どもに買い与える前の保護者の営みと買い与えた後の営みの全体をペアレンタル・コントロール概念にとり込むべきである。」そのような発想に基づいて、下田研究室では、ペアレンタル・コントロールを次のように定義してきた。

 ペアレンタル・コントロールとは保護者による子どものインターネット利用の管理・監督の営みを意味する。具体的にはパソコンやインターネット機能付き携帯電話、ゲーム機などインターネット端末を子どもに買い与えた場合の管理・監督の営みをいう。保護者や教員がインターネット端末を子どもに使わせる、あるいは買い与える前の「話し合い・ルール作り」からはじまり、約束が守られているか、あるいは誤ったもしくは危ない使い方をしていないか等の見守り、注意、指導の営みの全体をペアレンタル・コントロールの実践課題とする。

 ちなみに青少年メディア研究協会及び下田博次が過去5年間にわたり13以上の自治体に提供してきた「市民インストラクター養成講座」のプログラムでは、注意・見守り・指導などペアレンタル・コントロールの営みを実践するための実習や概念解説プログラムが含まれている。

  また、その講座実習に必要な教材(テキスト、DVD、シミュレーションプログラム)の開発も行っている。