最悪コースをたどり始めた子どものケータイネット性被害対策

 私は2010年7月に集英社から出版された「子どものケータイ危険な解放区」で「日本の子どものケータイ利用問題は安易なモグラたたきしかできず、被害は拡大する」と述べた。警察庁がさきごろ(平成23年5月)に発表した「コミュニティサイトに起因する児童被害に関する調査・分析」の内容をみると、私の予想の中でもワースト・コースをたどっていることが解ってきた。警察の事件分析では、いわゆるブラックな出会い系サイト利用より「健全」と認定された公的(?)なEMA認定サイト利用による子どもの性被害が増え続けている。健全サイトで子どもをだます大人の目的は、大半が子どもとのセックスであり、ミニメールや直メによる接触という手口が大半であるが、EMAもEMAに守られているサイト業者も、この危ない出会いのリスクを防ぎきれず、そのためEMAに協力的になった警察を苛立たせ、当局のあせりがつのってきた様子がうかがえる。

 私が注目している点は、警察が「隠語の利用が増えた」と分析したことで「今更何を言っているのか」という思いだ。また「フィルタリングがかかっていないから」という泣き言も引き続いている。EMAの健全サイトで児童被害が増えているのに、「健全サイト」を抜け穴にしているフィルタリングでは解決にならない事は皆知っている。また今回の発展では‘子どもたちが親や学校から注意されているのに、被害を招いた’としている。これは子どもの方が「危ないと解ってサイト利用をしている確信犯的傾向」が出ているということだ。学校が業界に頼った啓発活動など甘い啓発では効果が無いことを意味している。

 現状を一言で言えば「この2,3年間の安易なモグラたたき」から、ネット業者と警察・学校など対策側対悪賢くなった子どもプラス確信犯的子どもと気脈を通じた悪質な大人(悪徳業者も含め)の連合勢力とのゲリラ戦の様子を示している。

 このゲリラ戦は、思春期の悪いがしこい子どもと悪質な大人の側に有利に展開するだろう。このゲリラ戦は取り締まり・管理の裏をかこうとする子どもや悪人どもにとってはスリルのあるゲーム、遊びとなる。

 警察は安全対策などできないネット業者の為に疲労する取り締まりに力を尽くすという変な構図になりつつある。結局最後は親が賢くならぬ限りネットのイタチごっこは止まらないと思うのだが、フィルタリングもかけづらい(ペアレンタル・コントロールできない)スマホの利用が進めば、ペアレンタル・コントロールも期待できないかもしれない。