警察庁の最新発表データから読み取るべきこと

 警察庁は2月23日「平成23年中の出会い系サイトなどに起因する事犯の検挙状況について」という調査結果を発表した。それによると、これまで非出会い系とあいまいに呼ばれてきたコミュニティ・サイトでの子どもの性被害は減少し、代わって出会い系サイトでの被害が増加しているという。

 新聞報道ではこの警察庁の発表を受け、「子どものネット被害は減少傾向にある」という書き方をした。つまり、プロフやSNSなどのサイト利用での青少年の被害は減少傾向にあるから安心してよい、という印象を与える報道になった。しかし警察庁の発表データを注意して読み取ると、簡単には安心できない傾向が出ている。そう読み取るべきだろう。

 まず、EMA(一般社団法人モバイルコンテンツ審査・運用監視機構)がいわゆる健全サイトと呼ぶコミュニティ・サイトでの被害数は減少したというが、もともと被害数が際立って多い大手業者のコミュニティ・サイトのひとつで被害数が大幅に減少した。と言っても被害数がゼロになったわけではない。それより、大手健全(?)サイトの儲け方をまねた新参のコミュニティ・サイト業者のサイトでの子どもの被害数が増加していることに注目すべきだ。荒稼ぎした先行の大手サイト業者の管理を厳しくした分、後発の管理の甘い業者のサイトや、健全サイトより明らかにブラックで、フィルタリング無しならリスクも高い出会い系サイトへ、子ども達や子どもを狙う大人の利用が流れている。しかも被害児童は、13歳以下の子どもへと低年齢化しているとも報告されている。ということは今後の被害の広がりも予想しておくべきだ。

 これまで、被害数が大きすぎた大手コミュニティ・サイト業者の被害数が、少し減ったことをクローズアップすることで安心ムードを作り出すような警察庁の発表や報道の仕方は、子どものネット被害の現状認識を甘くさせ、問題解決を遅らせているように思われてならない。原発に限らず、我々日本人はリスクを正しく認識できないで問題解決努力を先延ばしするクセがあるのではなかろうか。